小学生の頃、友達は陸奥A子や田渕由美子が好きって言ってた
漫画の話ですよ
友達のお姉さんが読んでいた「りぼん」をチラチラとみせてもらい
大好きだったのが「大矢ちき」
漫画というよりイラストレーションと思ってました
高校時代から、ずっと私とともに旅している「おおやちき作品集雪割草」
渋谷の寮から西荻、高円寺、大井町に稲毛、こちらに来てからもあちこち移動
この中の「並木通りの乗り合いバス」に出てくる
ステファーヌ・オードラン
もちろん、フランスの女優さんの名前ってことは知っていたけど
漫画の中では、思いっきりコメディエンヌ
それもとっても個性的で、私の中ではイメージが出来上がってました
『バベットの晩餐会』では、そのステファーヌ・オードランが主役です
てっきりフランス映画で、もっと贅沢な映画かと思っていたら
全然違う!!
ステファーヌ・オードランはコメディエンヌでもないし、美食の映画でもなかった
18世紀を舞台としたデンマーク映画で
前半は特に、荒涼としたユトランド半島の様子が辺境の地という言葉にピッタリなのに驚きました
海辺の小さな村の牧師の娘二人と、村人との淡々とした生活の中に
パリ・コミューンによって家族を失ったバベットが逃れてきて
家政婦として14年働き
宝くじで得た一万フランで、牧師の生誕100年のお祝い晩餐会のためにフランス料理を作りたいと申し出る
バベットはかつでパリで活躍したシェフで
それを姉妹に隠していたために
姉妹や村人は不安で食事を味わえなかったのが
料理の美味しさに感動し
村人同士のいがみあいも、しだいに解きほぐれていくというもの
時の流れが止まったような静かな寒村
ヒラメを干している様子が何ともさみしい
貧しいといっても、いがみ合うといっても
そこに悲惨さや強い感情はなく
ただ淡々と肯定的な人生の時間が流れているのを感じます
原作者のアイザック・ディネーセン(カレン・ブリクセン)は映画「愛と悲しみの果て」の作者でもあります
こちらの原作は「アフリカの日々」
メリル・ストリープの演技がよかった
波乱に満ちたアフリカの日々と、辺境の寒村の時間が止まったような生活
全く違うように見える世界を同じ作家が描いているのも魅力です
面白いと膝を打つとか、感動した!!というような映画ではないけれど
観終わった後に、ふんわりとした幸福感というか受容する気持ちがわきあがる映画と思います
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